Fear

みなさん、このパンデミック(感染の大流行)の中、如何お過ごしですか?サンディエゴは3/17日からレストランが全て閉まり、テイクアウトのみになりました。学校が閉まっているのはもちろんですが、その他のビジネスもほぼ全て閉まり、先週末天気が良かったので家にいるのが嫌になった人々がビーチや公園に殺到した為そこで感染が起きたこともあり、3/23からはそのようなアウトドアの公共の広場も全て閉まってしてしまいました…

レストランビジネスの友人達は仕事が無く、もちろんそこで音楽を弾いて稼いでいる友人達も… 私のルームメイトのミュージシャン達も、サンディエゴで仕事が無いため、ティファナに帰った所、今度はUSとメキシコの国境が閉まってしまった為、帰って来れなくなってしまいました。これがいつまで続くのやら… 私も家にいるのは好きですが、食べにも運動にも出れないとなると結構辛いものがあります。私のミラノにいる妹は家からゴミ出しと買い物以外は一歩も外に出れないと言っていました…

今回のこのパンデミックに対する反応で、日本、アメリカ、メキシコの文化の差を感じたのでその事について書いてみたいと思います。その前にデータが気になったので、一応調べてみました。下記のデータは3/24時点です。同じ都市でもカリフォルニアと東京を比べるのはサイズの桁が違いすぎるので、とりあえず私の知っている東京とサンディエゴを比べてみました。ちなみに鹿児島は未だに出ていません!(あくまでも個人で調べたデータの集計なので間違いがあったらお知らせください。)

Corona Data

感染者数がサンディエゴが人口の数と密度が低いわりに東京の10倍なのは、単にそれだけ検査している人が多いと言う事かもしれませんが、ここで注意してほしいのは、人口に対する感染者の比率もですが、死亡者の数とそれに対する政府の対応や人々の反応の差!ビジネスもレストランも全て閉めるサンディエゴと、まだ普通に(?)営業、仕事している東京。これは政府の対策の迅速さの差なのか、それとも恐れに対する対応の違いなのか?気になるところです。

政府がどうしているかは別として、友人達のSNSを見ていると投稿内容が違う。パニクって家にいるよう呼び掛けているのはサンディエゴ、もしくはアメリカに住んでいる友人(アメリカ人も日本人も)。日本に住んでいる友人の投稿はそうでもありません。そして周りで聞く話。感染者がどこで出た、という話もですが、最近聞いたのは、アメリカで銃の購入が増えているという話。実際友人の友人が銃をテキサスから購入して送ってもらおうとしたら、カリフォルニアが既に州に持ち込むのを規制していて届かないと嘆いていたとか。

ここで、「なんで銃なの?!銃でウィルスは殺せるわけないでしょ?」と思うのは私が日本人だからでしょうか。そういう銃を購入するアメリカ人の思考回路としては、仕事に行けなくなる=>収入が無くなる人達が多くなる=>人々が強盗を始める=>「自分の身は自分で守らなくては!」=>銃の購入!という流れになっているかと考えられます。ちなみに公園に人がいたり、ビジネスが開いていたりすると通報の電話がジャンジャン来るそうです。「こんな時にルールを守らない人がいる!すぐに閉鎖してくれ!」と。

こんなにパニックしている人々を尻目に、同じ地域に住んでいながらもっと淡々としているのはメキシコ人。私が日本から戻ってきた時もルームメイトはみんな普通に接してくれましたし(その時は日本には感染者がいたけど、サンディエゴはまだいなかったはず)その後コロナウィルスの感染者が出てからも生活態度は特に変わらず。もちろん仕事が無くなってメキシコに帰ったりはしていますが、無駄にパニクってはいない感じです。むしろコロナウィルスのコロナをコロナビールとかけて、とか、トイレットペーパーの買い占めを面白がって皮肉っている投稿が多いような。

これらすべてとは言いませんが、やはり生まれ育った文化の違いは少しはあるのかも、と思います。例えば死に対する恐怖感などもその一つ。(メキシコは死者の日などあったり、日本も輪廻転生を信じたり、とアメリカほど死を恐れない気がします。)実は文化の違いで今回のコロナウィルスの脅威に関連するかもと思われる面白い指標があります。それがホフステードの不確実性の回避 (Uncertainty Avoidance) 指標です。

以前の記事でも書きましたが、不確実性の回避が強い文化は、できるだけ未知であいまいな状況を脅威と見為すため、それを避けようとし、そういう事が起こらないように規則を作ったり、子供を厳しく躾けたりします。逆に、不確実性の回避が弱い文化は、規則もしつけもあまり厳しくありません。ちなみに、ここでお話したアメリカ、日本、メキシコの3か国の違いは以下の通り。

Uncertainty Avoidance 3 Countries

これを見てあれ?と思う人も多いでしょう。「日本とメキシコは不確実性回避傾向が強いのに、アメリカは弱い、ということは、日本とメキシコの方が未知の状況を脅威に感じて、コロナウィルスなどに関してももっと対策を練るはずでは?」と。ここが面白いところですが、ホフステードはこう言っています。「不確実性の回避 (Uncertainty Avoidance) と、リスク回避 (Risk Avoidance) を混同してはいけない」、と。

ホフステードによると、不確実性 (Uncertainty) を回避すると言う事は単に曖昧さ/曖昧な状況を無くして予測可能にする、と言う事であり、リスクを取らない、と言う事ではない。逆にリスクを取る事で曖昧な状況を無くすというのもありなので、不確実性の回避傾向が強い国の方がリスクを取ると言うこともあるそうです(リスクを取ったとたん曖昧ではなくなるから)。それに対してAnxiety (不安) というのは恐れ (fear)に対してのことなので、不確実性の回避傾向が強いからと言って、不安度が高い文化ではないということです。

また、こういう傾向もあるそうです。不確実性の回避傾向が高い国(日本やメキシコ)では市民が政府に影響を与える可能性は低いと考えがちだが、不確実性の回避傾向が低い国では市民が政府を感化できると考える。よって抗議運動をしたり、デモをしたり、署名運動をしたりして、政府の決断を変えようとする。ある意味、アメリカは特に個人主義でもあるので、自分の力で何か出来る!という意識が強い国でもあるのかもしれません。

これらがあいまって、アメリカでは個人個人がSNSなどでコロナに対する警告を出す傾向が多く、そういうニュースを見る頻度が高くなるので事実よりももっと脅威に感じるというのもあるかもしれません。最近ニュースでもよく ”Breaking News!!”(直訳は「ニュース速報」、となりますが、この書き方だともっと緊迫感がある感じ)と言って、コロナに対する情報を過大に流していますが、そいういう誇張したメディアの影響もあるかもしれません。

今回は意外と恐れに弱い(だから銃が売れる??)アメリカ文化のお話でした。





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