Orientation


皆さん、如何お過ごしですか?日本はもうそろそろ自宅謹慎?から解放されそうですね。サンディエゴもようやくレストランが開き始めるようです。さて、今回は前回の続きです。大学に非常勤として採用されたのはいいものの、そこからも思いもかけないチャレンジが!それがオンライントレーニング、つまりオンラインでの新人研修だったのです。

ここで追加情報。私が今非常勤として働いている大学は私立の大学で、元々Non-Profit(非営利)だったのが、近年になって経営が苦しくなったとかでFor Profit(営利)になった学校なのですが、今回働く大学は元々非営利の大学です。(ちなみに非営利だとNon-Profit、つまり利益を追求しないということで聞こえは良いですが、アメリカでは非営利企業の方が営利よりも給料が高い事も多いです。どことは言いませんが、良く寄付金を募っている非営利団体などに寄付をする際は、お金がどこに使われているのか良く調べた方がいいですね。)

新人研修は日本では平均約1ヵ月程度らしいですが、Turn-over(離職)率高いアメリカではすぐ辞めるかもしれない人にそんなに長く研修をしていられないのか、数時間から1日(それ以上はやりすぎ)というビジネスの記事がありました。短すぎ!要は、お金、お金、のアメリカではdown-time(人が稼働していない時間、つまりこの場合人が1人前になるまでの時間)は短ければ短いほど良い、と言う事でしょうか。(ビジネスと大学は別!と思いたいですが、営利の大学の方はBenefit corporationとなってたので、結局は企業と一緒!?)

結果から言うと、今回採用された大学のオンライントレーニングは、全部を終わらせるのに約2週間かかりました。(1日数時間ずつ受けたので、実質は16時間位?)これは推奨されている1日よりは長いので良心的(?)というべきかもしれないですが、この間給料は支払われないので不稼働時間には換算されません。ちなみにこの大学は現在コロナで自宅謹慎だからオンラインで研修をしたというよりも、元々トレーニング全てオンラインで行っていたようです。なので、その作りもかなりお金をかけたと思われます。(ゲームのようにインタラクティブで、トレーニングで見る必要のあるビデオなどはちゃんとシナリオが設定され、役者を使ってプロが取ったテレビドラマのように素晴らしい出来栄えでした。)

気になるオンライン研修の内容ですが、大学で教える為の新人研修というと、大学の学部の色々な情報、生徒にどのように教えるべきか、また問題が起こった時に誰に伝えるのか、などの実質的な情報だと思うでしょうが、半分はそうですがあとの半分は違います。それでは後の半分は?それは法律的な内容なのです。端的に言うと、「いかにして(裁判を起こされないように)行動すべきか」、と言うような事例を事細かに説明されるわけです。これだけではピンとこないかもしれないので、研修の概要(法律に関する部分)をご紹介。

1. ダイバーシティ:現在の職場での受け入れ方
2. 行動規範:職場での行動規範
3. 身障者の受け入れについて
4. 負傷や病気の予防
5. FERPA (Family Educational Rights and Privacy Act、家族教育の権利とプライバシー法)の基礎知識
6. ハラスメントと差別を阻止する為に

たった6つの項目だと思うなかれ。これの一つ一つになんと!12項目程ありました。特に、1のダイバーシティトレーニングは、現在カリフォルニアでは最低2時間必要と決まっているようで、シミュレーションなど含め、みっちり2時間分(いや、それ以上?)ありました。これは人種で人を差別するな、というような簡単な事ではもちろんなく、例えば仕事を任せる時に、女性が妊娠しているからと言う事を考慮して仕事を他の人に回す、などという一見良かれと思う事でもハラスメントになり得る、というような事も含まれ、今まであった訴訟内容と共に教示されます。

また4の負傷や病気について何故トレーニングが必要かというと、アメリカの沢山の企業が従業員が怪我した際にWorkers’ compensation(労災)訴訟で何万ドルもの被害を被っているからです。(よってカリフォルニアでは企業は労災の為の保険を持つことが義務付けられている)本当にこのトレーニングで怪我が減るのか、それとも単にダイバーシティと一緒でもし訴訟などが起こった時に、「うちはちゃんとトレーニングをしてますよ~」、と言えるようになのか…どちらにしろ、私がアメリカに来て企業で働いた際に受けたいくつかの新人研修の中でも、ここまで徹底しているのはありませんでした。

そして今回初めて受けたのが5のFERPA (Family Educational Rights and Privacy Act、家族教育の権利とプライバシー法)について。これは大学が生徒だけでなくその家族とも関わる事になる大学ならではの研修かと思われます。いわゆる生徒のプライバシーを守る為の法律なのですが、この中でびっくりした内容が一つ。それは、親だからと言って、自分の子供の成績を大学に問い合わせはできない、という法律です。つまり、子供が18以上の場合、子供にはプライバシーを守る権利(!!)がある為、子供の承諾なしに成績を知る事は法律違反なのだそうです。(ただし子供が税の申告の際に親の扶養家族になっている際はOK)いかにもアメリカですね~。

これらの法律に関してのトレーニングが8時間くらいかかり、その後にオンラインで授業をする為のトレーニングが4日間分(1日2時間、合計8時間分)ありました。これはこの学校が主に使っているサイト、もしくはオンライン授業をするソフトウェアを使えるようになるという内容です。(どこにシラバスや必要な書類をアップロードするのか、どのように課題を出し、提出日を設定し、どのような基準で成績を付けるのか、生徒の質問にはどう答えるのか、問題があった場合はどう対処するのか、など)もちろんこのトレーニングも全てインタラクティブ。仮想授業のクラスがオンラインで設定されており、そこに先生として課題を載せたり生徒の会話にコメントしたり、というのを実際にシミュレーションさせられました。

…というわけで、トレーニングを2週間かけて無事終え、今度はそのオンライントレーニングをパスすればやっと配属となります。(なんと、点数が85以上で取らないといけないらしい。法律の方ではなく、オンラインで授業をする方ですが。)ハァ…長い道のりでした。と言っても日本の1ヵ月トレーニングよりは短いですけどね。(でもこの間給料無し!)カリフォルニアの学校は全て今年一杯オンラインで授業をする事に決まったそうなので、今のうちオンライン授業の方法をマスターしておくのもいいかもしれません。





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