Courage


みなさんは自分を自分以上に大きく見せる事についてどう思いますか?つまり、自分の出来る事、経験、などを実際よりも良く、もしくは過大して見せる事は良いことだと思いますか?それとも良くないこと?また、倫理は別として、そうして自分を大きく見せる人に対する評価はどうでしょう?その人に対する評価は上がりますか?それとも下がりますか?この、「自分を自分以上に見せる事」に対する価値観は、日本とアメリカの文化で特に違う価値観の一つではないかと思います。

私が以前日本で働いていた会社で、こういう事がありました。その会社は外資の半導体関連の会社で当時は景気が良かった為、社員の皆さんも結構稼いでいたと思われます。ある日、上層部からこのようなお達しがありました。「お客様の所に行く際に、高級腕時計を付けて行ったり、高級車で乗り付けたりしないように!」という内容のお達しがありました。何故か分かりますか?

それは、お客様にしてみれば、「うちとの取引きで稼いだお金で儲けている(つまり、ぼったくっている?)」と思われかねないから、ということだったように記憶しています。この場合は自分の持っている物が自分を大きく見せるというよりも、自分の身分相応な物でも見せびらかすのは「はしたない」ので実際の自分のステータスよりも下に見せろ(お客様の心証を損ねない為に)と言うことですね。

同じ事をアメリカでしたらどうなるか?と考えて見ると、同じようには取られないような気がします。高級腕時計をし、高級車に乗ることは、こちらでは「成功している証拠」と見られ、ともすると「成功しているからには信頼に値する会社に違いない」と逆に信頼が増す可能性もあります。実際、アメリカでは自分をより大きく見せる事が自信があるように見られ、自信がある人=信頼に値する人、のように思われた結果がトランプ大統領の当選では?というのは言いすぎでしょうか?

このように自分を本当の自分より大きく見せる、というアメリカ人の傾向は日々の小さな事でも気づくことがあります。例えば、日常の会話。どれくらい他の言語を話せるかという話をした時に、ちょっとかじっただけでも日常会話レベルは出来る、と言う。また職を探す時に一度プロの履歴書ライターに添削を頼んだ事がありますが、ちょっとだけしたことがある事でもずっとしていたように書き直されたり(その方が雇われやすくなるから、という理由で)、と言う事が頻繁にあります。

アメリカでは職を探す際に、”Get your foot in the door”と言いますが、一旦足をドアの中に突っ込んでしまえば(雇われてしまえば)、そこからどうにかなる、というのは良く使われる言い回しです。逆にこれは、「雇われさえすれば=履歴書でちょっとウソをついてでも雇われてしまえば」と言う風に聞こえなくもありません。仕事でもちょっとでもできれば「できます!」と言う。先日ジェニファーロペスのインタビューでも、駆け出しの頃できない事を出来ると言い、雇われた後に出来ないとバレたが、笑って済まされた、という話をしていました。

私は合計20年近くアメリカに住んでいますが、このような考えには何年経って慣れません。自分を大きく見せる、というのは謙虚でなく、自分をひけらかす、という気がして「はしたない」、もしくは「みっともない」と思ってしまうのです。アメリカでは、ちょっとしかできなくても出来る、というのは「自信、もしくはやる気の現れ」とも捉えられ、それを評価しているのかもしれませんが、なんとも納得いかないのです。

「日本人なんだから謙虚のままでいいじゃないか!」と思われるかもしれませんが、こちらに住んでいるとそれで割を食う事もあるのです。例えば、以前も書いたかもしれませんが、アジア系アメリカ人はhumble(謙虚)で、アメリカ人のように積極的に自分を売り込まない為、管理職に昇進されにくい、というデータがあるのです。何でもアメリカでは強気で人を引っ張っていくタイプがリーダー気質があると思われる為、謙虚で自分の手柄をひけらかさないアジア人はリーダー気質が無いと思われ、昇進されにくいのだそうです。

経営コンサルタントのロシェル・カップさんが書いたThe Rice Paper Ceilingという本には、日本人のリーダーとアメリカ人のリーダーの違いが書いてありました。アメリカ人のリーダーと言うのはいわゆるフットボールコーチ。カリスマがあって策略を練り、指示を与え、評価を伝え、グループを鼓舞して引っ張るタイプ。それに対して日本のリーダーは空手の師匠。超然として不可解。細かい指示がなく、フィードバックもあまりしない。部下はリーダーの行動を見て学び、自分で考え行動する事を求められる。

言い方を変えると、アメリカはフットボールコーチのように、強気で引っ張っていく、自信満々なタイプがリーダーとして適当と思われ、日本では空手の師匠のように謙虚で自分をひけらかさず、見て学べ、というタイプがリーダーとして適当と思われるのでしょうか?この本は2000年に発行されているので今は変わっているかもしれませんが、まだまだこれに近いところはあるような気がします。(何度も書きますが、あくまでもこれらの違いは文化の傾向であって、全部の会社、またはその国のみんながこうという訳ではないのであしからず。個人個人の違いはもちろん、業種でも違うのはもちろんです。)





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