Parasite

またあっという間に1週間(以上)が経ちましたが、みなさん如何お過ごしですか?私が今教えているIntercultural Communication(異文化コミュニケーション)のクラスは先週木曜が最後だったのですが、その後ちょっと体調を崩しており更新が遅くなってしまいました。でもコロナではないのでご心配なく!そして来週はもう7月ですね!

今回このクラスを教えるのは昨年の秋からすると2度目なのですが、前回はキャンパスでの授業だったのが、今回はコロナウィルスの影響のせいで全てZoomを使ったオンライン授業となりました。オンラインとなると授業内容はもちろん、出来るアクティビティなども限られてきます。よって、先学期の最終プロジェクトは「異文化の人に会ってインタビューをし、クラスで学んだ内容と関連付けて発表する」、というものだったですが、今回は「異文化の映画やドラマを観てその感想を異文化コミュニケーションと関連付けてプレゼンをする」、というプロジェクトに急遽変更したのでした。

生徒達がグループでプレゼンした映画の中で興味深かったのが「パラサイト」。(日本語では「パラサイト 半地下の家族」という題となってます)2019年に出た韓国映画で、アカデミー賞も含め、様々な賞を取った映画なので見た人も多いかと思います。私も周りの人が話題にしていて知って、今年初めて見ました。これはアメリカではコメディ、ドラマ、スリラーというジャンルになっていますが、おおまかなあらすじは以下のとおり。

<あらすじ>半地下のアパートに住んでいるキム一家は4人全員失業中で、低賃金の仕事をして食いつないでいました。ある日息子が留学する友人に、彼の代わりに子供の家庭教師をやらないか、と持ち掛けられ、裕福な家庭であるパク家での家庭教師の職を手にします。そして兄に続き妹もその家庭で働く事に。でもこの超貧乏のキム家と超裕福なパク家との出会いが最終的には悲劇につながっていきます...

よくコメディなどではありがちですが、その文化圏の人には受けても他の文化の人には受けない、ということがメディアでは多々あります。それは例えば、ジョークがその文化の歴史を背景にしていたり、その国でしか分からないセレブの話や、海外には分からないその国の政治の風刺や揶揄が含まれていたりするからです。ではなぜこの韓国映画がここまで海外でも受けたのか?というのは個人的には気になっていました。(私個人はこのようなスリラージャンルの映画はあまり好きではないので特にすごいという印象では無かった。)

今回クラスでこの映画を題材にしてプレゼンをした生徒は二人ともアメリカ人。そのうちの一人の女子学生は日本に1年、男子学生は韓国に2年軍関係で滞在したことがある経歴の持ち主で、二人ともアジア文化についてもかなり知っています。そんな彼らになぜこの映画がアメリカで受けたと思うかを聞いた所、「アメリカ人にとって、アジアは自分達とは全然違う世界!という感覚があるが、この映画の内容はアメリカでも起こり得る事なので登場人物に共感でき、思ったよりアジアがアメリカと似ていて身近に感じたからではないか。」ということでした。

(*ここからはネタバレがあるかもしれないので観ていない人は注意!)
例えば、このドラマに出てくる裕福な家庭と貧乏な家庭。これらはもちろんアメリカにも存在します。そして、学歴がないとその「裕福層」である上流社会には入り込めない、というのはアメリカでも一緒です。では貧困層の人がどうやって学歴を持たずに上流社会に入り込めるのか?監督曰く、その一つの方法が韓国では「家庭教師になること」なのです。もっとも、普通は家庭教師になるのも学歴が必要と言えば必要なのですが、それよりも重要な要素が集団主義にありがちの、「知り合いだから信用する」という感情的信頼の要素、つまりツテなのです。

以前の記事でも書きましたが、「異文化理解力」の中で、エリン・マイヤーは人への信頼の仕方は文化によって違うと言います。認知的 (cognitive)な内容に信頼をおくのか、感情的、情動的 (affective)な内容に信頼をおくのかの違いです。

How people trust

例えば、認知的信頼度の高いアメリカでは、人を採用する際、履歴書の経歴、経験、何が出来るか、に重きを置きます。もちろん知り合いのツテで採用される人もいますが、ツテだけで、スキルが伴っていないと採用されません。これが感情的信頼度の高い中国や日本、中東などでは、コネがあるというだけで採用される事があります。これはアメリカのツテの採用とは違い、コネがあればスキルが採用基準が満たされてなくても採用されるのです。どちらの文化もツテやコネ入社はある訳ですが、スキルと人脈、どちらに重きを置くかが文化によって違ってくるのです。

パラサイトではこのような、「知り合いの知り合いだと信頼できるから...」という感情的信頼に基づいて人を採用していった結果、信頼が感情的に偏りすぎて悲劇が起こったとも言えます。ちなみにこの映画の異文化の豆知識として面白かったのは、家が外国人に売られた、と言う場面で、アメリカの字幕では「ドイツ人はソーセージとビール以外の物も食べる」、と訳され、ドイツでは「アメリカ人は冷蔵庫にハンバーガーとコカ・コーラ以外の物も入れている」とその国の国民に分かりやすい例えで訳されたということです。興味のある方は是非観てみてください。





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