Berliner Dom
ベルリン大聖堂

みなさんは自分の将来の姿をイメージする事が得意ですか?
今回はそういうビジョンを持つことが得意なベルリンに住んで2年になるOちゃんのお話です。

Oちゃんは愛知県豊田市に生まれ育ちました。彼女は小さい頃から背が高かったため、何もしなくても目立ったり特別扱いされるのが恥ずかしく、そういう環境を常に居心地が悪く感じていました。中学からは中高一貫に入ったのですが、高校1年の時にある事がきっかけで地元を出ようと思い、一人で東京に移りました。高校は自力で卒業し、その後、雑誌制作の専門学校に行き始めました。

在学中、Oちゃんは輸入書籍店でバイトをしていました。彼女は写真が好きだった為、海外の写真集などを見る機会がたくさんあったのですが、その中でも印象に残ったのはサンフランシスコの写真でした。それは、お客さんに「サンフランシスコはいいところだよ」と聞いたりした事もあったかもしれません。サンフランシスコは自然とOちゃんの潜在意識に組み込まれていきました。

「写真をもっと勉強したいし、英語も勉強したい。だから、もし行くならアメリカ、それも西海岸がいい!」、と思い始めたOちゃんはアメリカの西海岸で学校を探し始めました。そして最終的に著名な写真家も行った事があるという、写真学科が有名なCity Collegeを見つけました。そこは図らずも、今まで印象に残っていたサンフランシスコの学校でした。そして、自分でVISAを申請し、渡米を決めました。

Wall of Berlin
ベルリンの壁

驚くことに、その時Oちゃんは、1回も行った事のないサンフランシスコで生活している自分の姿がイメージできた、と言います。そして、実際行ってみたらイメージ通りだったそうです。

Oちゃんは渡米後、まずESL(Engish as a Second Language: USで海外留学生が大学に入る前に入る英語クラス。ここである程度のレベルに達しないと大学に入れない)に入り、なんと2か月でテストをクリアし、無事入学する事ができました。元々写真を勉強したくて行った学校なので、最初の2年間は写真のクラスばかり取っていたのですが、やはり卒業しておきたい、と思い、あと1年半必死で勉強して無事卒業する事ができました。卒業後は、プラクティカルビザ(アメリカで卒業した人たちが1年間働けるというビザ)で美術館の中の図書館の日本の書籍や作品を扱う所で働いたり、写真家のアシスタントの仕事をし、ホテルのコンシェルジュなどの経験を経た後、一旦日本に帰りました。

実はOちゃんがサンフランシスコにいる間に、人の話を聞いたり、雑誌で読んだりするうちに惹かれ始めた場所がありました。それがベルリンです。色んな移民や難民を受け入れていて、アジア人も含め、いろんな人種がいる為、ヨーロッパの中でも白人至上主義でない。人種のるつぼなので英語を話す人も多く、ドイツ語ができなくても生きていける。仕事も沢山あり、ビジネスを始める人への補助なども沢山ある。そして、フランスやイギリス、イタリアなどより家賃や物価が安い。Oちゃんは、その頃から今度はベルリンにいる自分を想像し始めました。

日本に帰国した時は、「1年くらい貯金して、そのうちベルリンに行こう!」と思っていました。そして日本で派遣で働き始め、しばらくOLをしていました。ですが、そんな時偶然オーストラリア人と恋に落ちてしまいます。帰国する彼と一緒にいたいと思ったOちゃんは、どうやったら一緒にいられるか考えます。Oちゃんの偉いところはそういう時でも彼に頼らず、自力で夢を叶えてしまうところです。最終的にはオーストラリアでのワーキングホリデーを申請し、彼のいるオーストラリアのシドニーに移りました。自然がいっぱいあり、ビーチも近く、美味しい物も多く、ずっといかったのですが、1年後に彼の仕事の都合で偶然にも再びサンフランシスコに戻ることになりました。しかしアメリカでの滞在ビザが切れる頃、彼とも上手くいかなくなり、再度日本に帰りました。

TV Tower
Alexander Platzの近くの旧東ドイツが建てたテレビ塔と近くの教会

「今度こそは今回は自分のやりたい事をやらねば!」と思ったOちゃんは、ベルリンに行きたいという目標の為にまた働き始めます。今度はドイツ系の会社で派遣として働き、週末も働いて半年で100万円お金を貯めました。そして友人と3週間のロシア旅行をした後に、モスクワから電車に乗って念願のベルリンに行きました。1度も行った事がなかったベルリンに着いた時、やはり自分がイメージしていた通りで、「あー、ここだ!ここが自分のいるべき場所なんだ!」と思ったそうです。

Oちゃんは最初ベルリンに観光ビザで入ったのですが、3か月後、ビザが切れる前にワーホリ申請をしました。その間友人に家や仕事の探し方のアドバイスを受け、語学学校に行き、バイトをしながらずっと続けられる仕事を探しました。そして約8ヵ月後!晴れて無事アメリカの大企業での仕事が見つかります。そこで初めパートタイムとして半年働いた後、労働ビザの許可もとり、現在はフルタイムで、自分の写真の技術を生かした、日本の写真素材を扱う仕事を任されているそうです。

Oちゃんのすごいところは、思い立って実行する、というその行動力もですが、行動に移す際に適当にするのではなく、ちゃんと計画を立て、そして全て自力で、そして合法的にそれを実行してしまう事です。(海外に住みたいという人で、ビザの為だけに現地の人と結婚したり、観光ビザで違法に滞在する人は多い)

小学校の時から自分のいられる場所を探していたOちゃんは、ベルリン来てから何もかもがうまく回り始めたそうです。平均的に背が高い人が多いドイツではOちゃんも目立たず、普通の人。そしていろんな移民がいるから、アジア人と言う事で変に見られたり、差別される事もない。年も気にしない、見かけも気にしない、ステータスも、どこから来たかも気にしない。日本では変わっていると言われていた自分の事も普通に受け入れてもらえて自分らしくいれる。それがOちゃんの気に入っているベルリンだそうです。今ではたくさん友達もでき、日本の事が好きな彼とのびのびと暮らしています。

Kaiser Wilhelm Memorial Church
2016年にクリスマスマーケットでテロがあった近くのカイザー・ヴィルヘルム記念教会

イメージ力だけでなく、行動力もあるOちゃんの生き方は、「思い立ったら何でもできる!」そう思わせてくれます。

ベルリンの旅は終わり、また今日からミラノです。





ブログランキングに参加しています。

海外進出ランキング