Rady Shell

みなさん、またまた更新が一週間以上経ってしまいましたが、如何お過ごしでしょうか?アメリカはこの間の日曜日がインディペンデンスデー(独立記念日)で、今週の月曜は振替休日でした。サンディエゴでは独立記念日にはあちこちのベイで花火を行います。ですが、湾岸沿いは人が多いし、飲酒取り締まりの警察も多く出ているので私は通常出かけないのです。

ですが、今年はラッキーにもサンディエゴベイに新しくできたThe Rady Shell at Jacobs Parkでサンディエゴシンフォニーがパンデミックの最前線にいるエッセンシャルワーカー(パンデミックの間でも働かなくてはいけなかった医療関係の人々など)を称えるために行う特別無料コンサートのチケットが余っているので来ない?とナースをしている友達が誘ってくれたので行ってきました。持つべきものは友達ですね!ちなみにこちらが観客の様子。どれだけエッセンシャルワーカーが多かったかが分かりますね。後ろに見えるのはサンディエゴのコンベンションセンターです。

Audience

この貝殻みたいに見えるコンサートホール(なのでShellと言う)はまだ一般に公開されていないそうですが、もうほぼ完ぺきな感じでした。オーケストラは遠く、一人一人は見えないのですが、コンサートホールには無数のカメラがぶら下がっていて、その画像がホール横のスクリーンに映し出されるようになっていました。もちろんインディペンデンスデーということで、国歌斉唱が最初に流れました。



そして、その後かかった曲も全部アメリカの独立に関する曲という事でしたが、聞いてみると、小中学校で運動会に使われた曲ばっかり。いつも運動会のレースでビリっけつだった私は昔のトラウマを思い出して複雑な思いでした。(汗)



そして花火はこんな感じ。一緒に行った友達が日本のように情緒がないと言ってましたが、それがアメリカの花火。とにかく休む暇なくガンガン打ち上げまくる。(笑)と言う訳で無事過ごせたインディペンデンスデーでしたが、友人に言わせると、やはりダウンタウンに出る人の人数はいつもより少なかったそうです。



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さて、今回は以前メルマガで投稿した宗教と文化についての記事を引用します。「宗教と文化」というと堅い話に思えるかもしれませんが、今回はちょっと面白い切り口からお話したいと思います。

異文化理解のトピックで必ずと言っていいほど出てくるモデルが社会心理学者、ヘールト・ホフステードの「文化の6次元」ですが、この中の国による文化の価値観の違いの一つに「長期的未来志向と短期的未来志向」があります。これは、文化によって違う、長期的に物事を見るか、短期的に物事を見るかという指標になります。

ホフステードによると、長期未来志向とは「未来の報酬にかかわる美徳(忍耐や倹約など)を促進する社会」、短期未来志向とは「過去と現在に関する美徳(伝統や面子の維持、社会的な義務を果たすなど)を促進する社会」としていますが、この次元は宗教と密接に関わっている事が分かっています。東洋の、ヒンズー教、仏教、神道、道教、儒教に感化されている文化は長期未来志向が多く、西洋の、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教に感化されている文化は短期未来志向が多いのです。

これらの違いは、東洋の宗教は「生き方や、徳」を説くのに対し、西洋の宗教は「真理を追求する」事が目的になっている為と言われています。東洋の宗教(ヒンズー教、仏教、神道、道教)などでは「宗教とは善の探求、自分を高める道を示してくれるもの」として考える為、完全な善も悪もなく、「人々はみな善と悪の部分を持っており、誰でも状況によっては悪を働くことはありえる」、と考えます。よって、このように「誰でも良い生き方を目指す事が出来る」という考えの長期的志向の東洋宗教の国では「犯罪者を更正させ生産的な市民にする」という方法が長期でより為になる方法なので、投獄期間も短くし、投獄人数も少ない事が分かっています。

それに比べ、西洋の宗教(キリスト教、ユダヤ教、イスラム教)などでは、「絶対の真理というものがあり、その真理とは一つである」という仮定の上に成り立っています。つまり「自分の神が真理である、と言う事は他の者の信じる神は偽者」という論理です。そして完全な善と悪が存在します。世の中には善と悪があり、悪は罰せられなければならない。よって、このような短期未来志向の西洋宗教の社会では、犯罪者は悪であり、更生の余地が無いので投獄する以外に方法がない、となり、投獄期間も長く、投獄人数が多くなると言う事が分かっています。

この話を母校の先生に話したところ、「なるほど、日本の将棋では相手の駒を手にしたら自分の兵力として使えるのに対し、チェスでは取った相手の駒は使えないですからね」、と面白い事を仰いました。ハリウッドなど西洋の映画を見ていても悪人はずっと悪人、という設定が多いのに対し、日本のドラマや映画などでは、悪人も更生して善人になる、などの設定が多くあるのに気づきます。

これらの違いが他にどのような違いをもたらたすのか。長期未来志向の文化は、長期的に未来の事を考え倹約する為、貯蓄額が大きく、短期未来志向の文化は貯蓄額が少ない事が分かっています。また、ビジネスでも長期未来志向の日本などは長期プランというと何十年、下手をすると何百年のスパンで考えるのに対し、短期未来志向のアメリカなどは同じ長期プランと言っても長くて何十年のスパンで考える、つまり考える長さのスケールが違う事が分かっています。(よって、長期的未来志向の文化では人は改善する余地があると考え、人をすぐには切らない)

アメリカ人は短期志向ですぐに結果を求める為、病気になっても体質改善ではなく薬ですぐに治そうとする。即座の満足感を求める(instant gratification)為、思いついたらクレジットカードで買って後で破産に苦しむ、などとなぜアメリカが消費社会なのかが分かる指標でもあります。(アメリカは特にまだ出来て何百年と若い国だからと言う事もあるかもしれませんが)…と、かなり偏った見方の話になってしまいましたが、温暖化など、地球の存続を考えると、やはりアメリカの消費社会的な考えはどうなの?と思う所はもちろんあります。まぁローマと一緒で、アメリカもずっと世界の頂点ではいられないでしょうが。それでは、また。

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