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みなさん、如何お過ごしでしょうか?サンディエゴはどうやら夏が過ぎたようで気候もちょっと涼しくなってきました。今回は今クラスで取り上げている文化によって変わる物の見方についてお話したいと思います。

今までも何度か文化によって違う価値観の話などをしてきましたが、実際に見る物の見方や物の認識の仕方、また世界観も違う事はご存知ですか?ここからはちょっと心理学の分野に入っていきますが、社会心理学者のRichard Nisbett (「木を見る西洋人、森を見る東洋人」の著者)は、東洋人は物や事象を関係性や家族的類似(Family Resemblance)によって分類する傾向があり、それに対して西洋人は法則に則って分類する傾向があるそうです。彼が行った実験をいくつかご紹介します。

実験1:下記の図で何と何を一緒にしますか?(英語の質問は “Which of the two objects go together?”)

Nisbett Experiment 1

この実験の結果はアメリカ人の子供たちは牛と鶏を一緒したのに対し、中国人の子供たちは牛と草を一緒にする傾向があったそうです。これは、アメリカ人の子供達は「どちらも動物」、という論理的な法則に則ってグループ分けしたのに対し、中国人の子供達は「牛は草を食べる」という関係性によってグループ分けしたと考えられます。

実験2:下のひまわり(Target Object)は、どちらのグループに属しますか?(英語の質問は、”Which group does the target object belong to?”)

Nisbett Experiment 2

この実験の結果は、東洋人はGroup1(左)のグループを選ぶ傾向があったのに対し、西洋人はGroup2(右)のグループを選ぶ傾向があったそうです。アジア人は家族的類似(Family Resemblance)、つまり似た物同士を一緒にしたのに対し、西洋人は「まっすぐな茎」という法則に則ってグループ分けしたと考えられます。

また別のアメリカ人と日本人に対して行った実験では、池に泳いでいる魚の写真を見せ、何が見えるか聞いたところ、西洋人は「魚」と答えたのに対し、日本人は「池」と答えたそう。また、一度見せた魚の写真を違う背景で見せたところ、アメリカ人は魚を見た事があると識別できたものの、日本人は識別ができない事が多かったそうです。(背景無しでは識別出来る)これは、日本人の方がアメリカ人よりも背景との関係性で物を捉えるからだと見られています。

Nisbett Experiment 3

(実験の詳しい内容はこちら

これらの違いは絵や写真にも表れているそうです。例えば人のポートレート写真を撮るよう指示すると、西洋人は顔を大きく撮るのに対し、東洋人は背景も入れる事が多いそう。これはフェイスブックプロフィール写真を見てもその傾向が分かります。(特に日本人は自分を強調して前に出すのははしたない、と思っているのもあるのかも?)そして、絵画でも東洋の人々の絵画は地平線が西洋の絵画より約15%高く設定されているそうです。(地平線が高いと、絵画の奥行が広がり、物の関係性が分かりやすくなる為と考えられる)

Portrait Photo

また、話す時の視点の当て方も東洋人と西洋人では違うそうです。東洋人は最初に物を見て、すぐ後に背景に視点を移すのに対し、西洋人の視点は物からあまり離れないそう。近年話題になったツイートで、絵文字の使い方から欧米人は口にフォーカスするのに対し、日本人は眼にフォーカスするのでは?というのがありましたが、言語によって使える記号が違うのでこれは定かではありません。でもこれに似た研究があり、ロシアの心理学者のAlfred Yarbusによると、西洋人は眼と口に焦点を当てる傾向があり、東洋人は鼻に焦点を当てる傾向があったそうです。これは東洋では目を直に見るのが失礼とされるからでは?とのこと。(研究の記事

他にも面白い文化によっての違いの動画がありましたので、是非見てみてください。




「木を見る西洋人、森を見る東洋人:思考の違いはいかにして生まれるか」
リチャード・E・ニスベット






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