BLM


みなさん如何お過ごしですか?日本はもう普通の生活に戻りつつあるのでしょうか?カリフォルニアも来週金曜からやっと学校、スポーツジム、バーなども開店の許可がでるそうです。元々学校などは今年一杯開校無しだと言われていたのですが、思ったより早い自宅謹慎(Quarantine)の打ち切りとなりそうです。(家でずっと自宅教育をしなくてはならなかった親が疲れてきたとか?)

さて、今回は現在アメリカ全土で起こっているGeorge Floyd事件に関するデモに関してです。ご存知のように、アフリカ系アメリカ人男性ののジョージ・フロイドさん(46歳)が5月25日、偽20ドル札を使用してタバコを買おうとしたという容疑で警察に捕まり、警官に膝で8分46秒間首の付け根を地面に押さえつけられて死亡しました。警官はジョージさんが反応しなくなった後も2分53秒間もその押し付けた膝を緩めなかったそうです。(Wikiペディア)そのニュースはここで見れます。(注:残虐な内容を含みます)



現在その事件を引き金に、アメリカ全土でBLM (Black Lives Matter黒人の命は尊い、粗末にするな)運動が広がり、本日の時点(6月6日US時間)で全国500以上の都市で抗議デモが行われました。ニューヨークやロサンゼルスでは抗議デモが暴動にまで発展し、警察と市民の抗争だけでなく、近辺の店舗なども窓ガラスを割られたり、店内の物の略奪がニュースになりました。サンディエゴでも先日4日に約2千人がダウンタウンからノースパークまで歩いてデモを行っていたようです。(これは暴動無しの平和的デモだったらしいですが)

今回の事件でアメリカの人種問題がどれだけ根深いかというのが浮き彫りになった気がします。未だに人種差別が?と思うなかれ。白人と黒人との格差は、実は50年前よりひどくなっているというのが現状なのです。
アメリカの人種問題とアメリカの白人の特権 (Privilege)については以前このブログの記事でも取り上げましたが、アメリカの国としての人種差別に関して分かり易く説明された動画があったので載せます。なぜSystemic Racism(体制としての人種差別)と言うのかというと、アメリカの今まで整えてきたシステムがことごとく黒人に不利なように作用してきたからです。



例えば、この動画で言われているように、アメリカの政府は南北戦争後に黒人の住んでいる地域にRedlining(特定地域の住民には融資しないなどの投資差別)をしました。そのおかげで黒人の人達は銀行からの融資を受けられなかった為に、白人のように家を買うチャンスを与えられませんでした。また、政府はそのような貧しい地区に住民に好まれないもの、例えば危険廃棄物を出すような工場などを建てたりした為、その地域はどんどん人が避けるようになり、もちろんオシャレなレストランやブティックなども店を出すはずもなく、その一帯がどんどん荒廃していくという悪循環になりました。

また、貧しい地区の学校は援助資金が少なく、学校の施設も整いません。おまけに先生達も給料が少なく、1クラスの子供の数も多い為、先生の目も行き届きません。そうなると教育の質も落ちます。したがって進学率も減ります。またアメリカのトップの大学は白人を優先的に受け入れてきたという事もあり入学自体が黒人にとっては難しかったのです。そしてアメリカの大学の費用がバカ高いのもご存知の通り。これも貧しい環境に育った場合致命的です。ご存知のようにアメリカは学歴社会の為、高卒ではロクな職には就けません。よって、大学を卒業出来た白人に与えられるような色々なチャンスが黒人の人には与えられなかったのです。

こういう難関をくぐり抜け、やっと大学を卒業できたとしましょう。その後も白人と同じ土俵で戦える訳ではありません。何故かと言うと、黒人という事だけで、就職自体が難しいからです。以前の記事で書いたように、履歴書に書かれている名前が黒人っぽい言うだけでUnconscious(無意識)もしくはImplicit(暗黙の)bias(偏見)を受け、同じ内容の白人の名前を付けた履歴書の半分しかインタビューに呼ばれないのです。このように、もし大学を卒業できたとしても困難は続くのです。

その上に問題なのは、以前の記事でも書いた、黒人であるというだけで警察に止められることが多いという事実です。Stop-and-Friskと言って、2013年頃まで警察は理由も無しに黒人を引き留め、詰問したりボディサーチをする事ができたのですが、実際引き留められた人達は90%が黒人かヒスパニックだったというデータがあり、racial profiling、人種による取り締まり差別とも言われます。統計的には白人の方が麻薬を使用しているというのに、このような取り締まり差別により黒人が捕まる事が多いのです。そして父親を投獄された黒人家庭では大黒柱を失い、母子家庭となりもっと貧困状態に陥り、貯蓄もできず、家も買えないので子供にも富を残す事ができないという悪循環に陥ります。

それに比べ、家も買え、貯蓄も出来る白人家庭では子供に富を残す事が出来る為、世代を超えるにつれ、どんどん貯蓄が増えて行くという仕組みです。このような体制的な理由による悪循環が何十年も続いてきた結果、現在では白人が持っている$100ドルの富に対して、黒人は$5.04しか持っていないそうです。また、白人家庭は退職後の貯えが黒人家庭より$100,000ドル(約1千90万)も多く持っており、この差は1989年から比べると4倍にもなっている、というデータもあります。つまり、世代を超えるにつれ、白人と黒人の格差がどんどんひどくなっていっているという状況なのです。

今回のジョージ・フロイドさんの件がここまで大きな問題になったのは、今までのこれらの人種差別の背景もさることながら、未だに続く警察の黒人に対する差別に対する憤りがあります。2月23日にジョージア州でも黒人のアマード・アーベリーさん25歳がジョギングをしていた所、白人の親子に何の理由もなく銃で撃ち殺された事件があったばかりです。撃ち殺した父親は元警官だったことと、その犯人達が5月7日まで2ヵ月半近く逮捕されなかった事もあり、警察に対する不満が募っていました。(その時アーベリーさんは何も悪い事をしていなかったので、黒人だというだけで殺された、いわゆるhate-crime(憎悪犯罪)だったと言われています。)

これらの事件を目にして多くの人が言うことは、「相手が白人の場合に警察はこのような(黒人に対するような)態度を取らない」という事です。例えば白人が拳銃を持っていても銃を発砲するどころか銃さえ取り出さない警官もいるのに対し、相手が黒人だというだけで相手が銃を持っていなくても、銃で殺してしまう。(今回の場合は息ができない、と言っているのにもかかわらず踏んでいる膝を緩める事もなく殺してしまう)、というような黒人の命を軽く扱う態度に憤っているのです。これらのことから、”Black Lives Matter”(黒人の命は尊い、粗末に扱うな!)という運動が広がったと言えるでしょう。

でも今回の運動で思ったのは、若い子が主導している運動が多かったこと。私の近所でも先日道路でデモをしている子達がいましたが、みんな10代、20代の子達でした。(この記事の写真はその時の物。ちなみに写真は友人で写真家のSergio Estradaさんの撮ったもので、許可をもらって搭載しています)以前の記事のアメリカの世代の違いで書いた、悪く言われがちのMillenial(ミレニアル)(21-36歳)ですが、彼らは人種差別をしないと言われています。そういう意味では世の中はちょっと良い方に向かっているのでしょうか?そう思いたいですね。

ちなみにこのような”Black Lives Matter”(黒人の命は尊い)というようなスローガンを掲げると、すぐに”All Lives Matter”(すべての命は尊い)と言う人達が出てきます。つまり、「黒人の命ということは他の命はどうでもいいのか?」とばかりに揚げ足を取る人達が出てくるのです。でもこれは論点がずれています。”Save the whales”(クジラを救おう)という時に、“Save all the animals” ((クジラだけでなく)すべての動物を救おう)とはならないですよね。これは他の命がどうでもいいとかは関係なく、単に「黒人の命が粗末に扱われているので、それを無くそう」という主張なのを忘れないように!





ブログランキングに参加しています。

海外進出ランキング